眠れない夜に
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(是を意味する頷きを認識すれば、己の問いかけと存在が見当はずれでないことを知って、漸くひとごこちついたよう息を吐く。もっとも娘の安堵はそればかりが理由ではなく)良かった。怖そうな人じゃ、なくって(彼の背丈は、ともすれば威圧感となり得るのかもしれないけれど、少なくとも連日悩まされている心霊の類の”こわさ”とは程遠く思えた。それに仕事とはいえ異性として気遣ってくれる紳士な点も、セクハラパワハラの嵐で削られた心には温かく沁みる。差し出された紙面に目を落とし、説明に耳を傾けると、真剣な面持ちで幾度も頷き返して。勧められるまま個室へと、小さな足でとことこ踏み入りながら)えっと……よかったら、寝付くまで一緒にいてもらえますか。一人だと不安で(おずおずと相手を窺うように、赤い瞳を見上げた。ベッドに腰を下ろして靴を脱いだら、解放感を覚えた足先が、泳ぐように上下に揺れて)そうだ。私、安藤音葉っていいます。店員さんは、その……なんてお呼びしたら良いですか?
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